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父の部屋に1つだけあるトロフィー

「明日は夕食いらないからな」というのは、父が毎週金曜日の夜に会社から帰ってきたとき、必ず母に伝える一言です。この父の言葉はもうずっと前からお決まりとなっていることのため、母はいちいち言わなくてもいいのにと言いつつも、実際はこのようにして、家族のことを決して忘れない父の優しさが好きだったりもすることに、私は気がついています。父が決まって毎週土曜日の夕食をいらないと言うのは、この土曜日は必ず会社の上司さんや部下たちとゴルフに出かけるからです。それも、朝の5時には自宅を出発をして、そこから帰ってくるのは、もう日にちがまわってしまっているくらい、1日を通してゴルフを大いに楽しんでいます。父がこれをするようになったのは、今の会社に勤め始めてからのことだそうで、私が小学生くらいの物心のついたときには、すでにゴルフをしている父が当たり前の状態でした。そんなゴルフ好きの父の部屋には、たった1つだけ大きなトロフィーが飾られています。これは、父がまだ若かったときに、この会社の方々と一緒になって出場したあるゴルフ大会で優勝をしたときにいただいたものだそうで、父はこれをとても大切にしています。たった1つしかないのに、その下には赤いマットを敷き、毎日のように磨いているのです。私は初めて父の部屋にあるこのトロフィーの存在を知ったとき、父はとてもゴルフが上手な人なんだなと思いました。


そして父自身も、このトロフィーを私に見せてくれると「パパはゴルフが好きなだけじゃない。とても上手なんだぞ。」と言って、いつも自慢げに語ってくれていました。だからといって父は、決してこれを嫌味ったらしく言うのではなく、自分のゴルフに自信を持っているという男らしさが見えるもので、私は父をかっこいいと思って尊敬していました。


しかしこの後、トロフィーが増えていくということは一切なく、今でもトロフィーは1つだけです。父は今年で55歳になるのですが、このトロフィーをいただいたのはもう20年も前のことで、きっとそろそろ体力的にも無理が出ているのだと思います。それでも父は、未だにトロフィーを目指して大会にも出場していて、努力している姿がまたかっこいいなと思って見ています。父の部屋で輝いているトロフィーが、きっと今の父を頑張らせているのだと思います。この先、父がトロフィーをいただけるような成績を残せるかはわかりませんが、私は応援したいです。